
9日、米ニューヨーク証券取引所で画面を見詰めるトレーダー(AFP時事)
【ニューヨーク時事】米株式市場は現在、トランプ大統領が打ち出す一連の高関税政策によって大きく揺さぶられています。相場は激しい上下動を繰り返しており、投資家たちは神経を尖らせています。
2日に相互関税導入が発表されて以来、景気後退懸念から株価は急落。ダウ工業株30種平均を始めとする主要指数が大幅に値を下げました。しかし9日には状況が一転、トランプ大統領が相互関税の追加分について90日間停止すると表明したことで買い注文が殺到し、市場は急回復を見せました。
一方で政権側は中国に対する対抗措置として125%という超高率関税導入を示唆。両国間の緊張関係は依然として解消されておらず、サプライチェーンの混乱や世界経済への波及リスクが懸念材料として残っています。
"現状では相場上昇に必要な追い風が見当たらない"とある日系証券アナリストは指摘します。二国間交渉の行方も不透明なままです。
小売大手にも波及する影響
この高関税政策により企業業績にも暗雲が立ち込めています。世界最大手小売りのWalmartでは先ごろ2025年度第4四半期の営業利益成長率予想を下方修正しました。
背景には同社の方針があります。一部商品において輸入コスト増加分を自社で吸収し消費者価格上昇を抑制するためです。「従来より正確な利益予測が難しくなっている」と経営陣も認める状況です。
S&P500構成企業の中でも特に中国からの輸入比率が高い会社にとって今後の決算発表時期にはさらなる影響が出る可能性があります。※編集部注:本記事における情報はいずれも公開情報に基づいております
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