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厚生年金と国民年金「ひとりで月額20万円以上もらえる人」は何パーセント?65歳以上無職世帯の家計簿つきン

2025年度の年金額が公表されました。厚生労働省によると、標準的な夫婦の年金額は2人の合計で23万2784円です。老後への不安が高まる現代ですが、ひとりで「月額20万円以上の年金」を受け取る人もいるのでしょうか。

今回は2024年12月に厚生労働省から公表された「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、「国民年金のみの人」「国民年金と厚生年金がもらえる人」にわけて、受給額を確認します。

記事の後半では、65歳以上の無職世帯の収支を確認します。

※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

2025年度「厚生年金と国民年金」は前年度より1.9%増加

厚生労働省によると、2025年度の厚生年金と国民年金は前年度よりも1.9%増加します。

 ・国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(+1308円)
 ・厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)

※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

冒頭で「標準的な夫婦の年金額は2人の合計で23万2784円」と述べましたが、上記のようなモデルケースを指していることがわかります。

年金がひとりで「月額20万円以上」になるかどうかは、「国民年金のみの人」「国民年金と厚生年金がもらえる人」にわけて検証する必要があります。

その理由について、次章で見ていきましょう。

厚生年金と国民年金「公的年金」の仕組みはこうなっている

日本の公的年金は、上記のように国民年金と厚生年金の2階建て構造になっています。

●国民年金(1階部分)
 ・原則、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある
 ・保険料は一律
 ・納付した期間に応じて将来もらえる年金額が決まる
●厚生年金(2階部分)
 ・公務員やサラリーマンなどが加入する
 ・収入に応じた保険料を支払う(上限あり)
 ・加入期間や納付額に応じて将来もらえる年金額が決まる
個人によって加入する年金や納付期間が異なり、受給額は「厚生年金という上乗せがあるかどうか」に左右されやすいといえます。

国民年金のみにしか加入しない第1号被保険者や第3号被保険者の場合、年金収入として月額20万円を目指すのは難しいでしょう。

また、厚生年金は年収に応じた保険料を支払うため、特に個人差が大きくなっています。

次章では厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、「国民年金と厚生年金がもらえる人」の受給額を確認します。

月額20万円以上の人の割合を見ていきましょう。

厚生年金「月額20万円以上」受給する人の割合は何パーセントか

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均額は月額で14万6429円でした。

● 厚生年金の平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円

 ・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
 ・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む

厚生年金における「受給額ごとの人数」を見ることで、ひとりで「月額20万円以上」受給する人は何パーセントいるのかみていきましょう。

●【厚生年金】受給額ごとの人数(1万円刻み)
 ・1万円未満:4万4420人
 ・1万円以上〜2万円未満:1万4367人
 ・2万円以上〜3万円未満:5万231人
 ・3万円以上〜4万円未満:9万2746人
 ・4万円以上〜5万円未満:9万8464人
 ・5万円以上〜6万円未満:13万6190人
 ・6万円以上〜7万円未満:37万5940人
 ・7万円以上〜8万円未満:63万7624人
 ・8万円以上〜9万円未満:87万3828人
 ・9万円以上〜10万円未満:107万9767人
 ・10万円以上〜11万円未満:112万6181人
 ・11万円以上〜12万円未満:105万4333人
 ・12万円以上〜13万円未満:95万7855人
 ・13万円以上〜14万円未満:92万3629人
 ・14万円以上〜15万円未満:94万5907人
 ・15万円以上〜16万円未満:98万6257人
 ・16万円以上〜17万円未満:102万6399人
 ・17万円以上〜18万円未満:105万3851人
 ・18万円以上〜19万円未満:102万2699人
 ・19万円以上〜20万円未満:93万6884人
 ・20万円以上〜21万円未満:80万1770人
 ・21万円以上〜22万円未満:62万6732人
 ・22万円以上〜23万円未満:43万6137人
 ・23万円以上〜24万円未満:28万6572人
 ・24万円以上〜25万円未満:18万9132人
 ・25万円以上〜26万円未満:11万9942人
 ・26万円以上〜27万円未満:7万1648人
 ・27万円以上〜28万円未満:4万268人
 ・28万円以上〜29万円未満:2万1012人
 ・29万円以上〜30万円未満:9652人
 ・30万円以上〜:1万4292人
※国民年金部分を含む

厚生年金を「ひとりで月20万円以上」受給しているのは16.3%のみでした。

では、65歳以上の無職世帯は、平均どれほどの収支になっているのでしょうか。



65歳以上「無職世帯」の収支とは

総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上無職単身世帯の1カ月の生活費は平均14万5430円でした。

さらに税金や社会保険料といった非消費支出が加わり、月の支出平均は15万7673円です。

一方で、収入の平均は12万6905円となっており、約3万円の赤字となります。

支出の多くを占めるのは食費で、4万103円となっています。

住居は1万2564円ですが、ここに住宅ローンの返済費用は含まれません。住宅購入者は0円となるため、ここに平均が引っ張られていると考えられます。

老後も賃貸暮らしを続ける方は、その分の家賃を見込んでおく必要があるでしょう。

年金収入が月20万円あったとしても、生活できるかどうかは世帯によって異なります。

また、年金からは天引きされるお金があるという点にも注意が必要です。

年金から天引きされるお金「額面と手取りは違う」

年金から天引きされるお金があるため、額面が20万円であっても実際の振込額は異なります。

どのようなお金が天引きされるのか、具体的に見ていきましょう。

●【老齢年金からの天引き(1)】個人住民税および森林環境税
一定の条件を満たす場合、前年中の所得に対して課税される住民税は公的年金からの天引きで納めます。

また、2024年度からは新たに森林環境税(年額1000円)の徴収がスタートしました。

●【老齢年金からの天引き(2)】 所得税および復興特別所得税
老齢年金は「雑所得」扱いとなり、一定額以上であれば所得税が課税されます。こちらも年金から天引きされます。

所得税とあわせて「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、復興特別所得税も課税されます。

●【老齢年金からの天引き(3)】介護保険料
介護保険料は、64歳までは健康保険と合わせて納めますが、65歳からは単独での支払いとなります。年金の支給額が年額18万円以上の場合、介護保険料は年金から天引きされます。

また、「要支援」や「要介護」の認定を受け、介護サービスを利用し始めた後も、介護保険料の納付義務は生涯続く点に注意が必要です。

●【老齢年金からの天引き(4)】健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
国民健康保険や後期高齢者医療制度といった健康保険料についても、原則年金からの天引きとなります。

少子高齢化の進行などを受け、社会保障制度を支える世代の負担は増加傾向にあります。

介護保険料や健康保険料は今後も上昇する可能性が高いといえるでしょう。

老後資金対策、少しずつ始めよう

今回は年金平均受給額について確認しました。

1万円刻みの受給権者数をみてもわかる通り、年金受給額については個人差が大きいものです。平均はあまり参考にならないため、自分自身の年金額を確認してみましょう。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などが参考になります。

そちらを踏まえて老後の収支をシミュレーションしたとき、足りないと気づくこともあるでしょう。

足りない分は準備していく必要がありますが、その方法は預貯金だけではありません。

 ・公的年金を増やす方法を考える
 ・私的年金を準備する
 ・預貯金を貯める
 ・資産運用をする
 ・できるだけ働く
それぞれの選択肢ごとに合う人・合わない人があります。デメリットも熟考した上で、ご自身に合った老後対策を始めていきましょう。

参考資料

 ・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
 ・日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
 ・日本年金機構「ねんきんネット」
 ・厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
 ・日本年金機構「年金振込通知書」
 ・総務省統計局「家計調査報告 家計収支 2023年(令和5年)平均結果の概要」

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