「声優の仕事だけでは生活できなかった」。かつてアニメ業界で活躍していた柴田由美子さん（60）は、20代の頃に人気アニメのキャラクターを担当しながらも、夜は銀座や六本木のクラブで働いていた。

代表作に「聖闘士星矢」の春麗役を持つ彼女だが、声優としての出演料は1日あたり5000円程度に過ぎず、事務所の手数料を引かれると手取りはさらに少なかったという。その後、収入は多少増えたものの、現在は整理収納アドバイザーとして別の道を歩んでいる。

急成長するアニメ市場とクリエイターの厳しい現実

日本のアニメ市場は「鬼滅之刃」や「呪術廻戦」世界的ヒットに支えられ2023年には約3兆3000億円規模に達した。ここ10年で市場規模2倍以上拡大し海外ファンド投資も活発化。ソニーグループによるKADOKAWA出資強化東宝による米配給会社GKIDS買収等グローバル展開進む。

しかしこうした市場成長にも関わらずクリエイター労働環境依然厳しいまま日本アニメーター・演出協会2022年調査20～24歳平均年収約197万円同年代東京都平均約350万円大幅下回る2018年155万円増加米国比較依然半分以下水準留まる。

過酷労働環境変化兆し

業界関係者20人取材低賃金長時間労働給料未払契約書取引問題浮彫状況受公正取引委員会20241月調査乗出改革動見始。

更202411月施行フリーランス・事業者間取引適正化等法（フリーランス新法）により待遇改善求委託元企業適正報酬支払義務課期待高まる。

今日本代表文化一世界注目存在制作支人々待遇改善業界全体持続可能成長難政策企業対応安心働環境整備注視必要あるだろう