近年、D&Iというキーワードを目にすることが増えました。「ダイバーシティ(多様性)」と「インクルージョン(包摂)」が企業の経営やビジネスにおいて不可欠な要素として注目されています。女性活躍やLGBTQといった性別、障がい、年齢といった観点でのD&Iはもちろん、日本ではまだあまり意識されることは少ないかもしれませんが、国籍や宗教なども世界的には重視されています。また、一人ひとりの価値観や働き方など属性だけでなく、考え方やライフスタイルなどの多様性も今後より重要となるでしょう。 ただ、率直に言ってこれまでD&Iは、人権への配慮や企業の社会的責務の観点から取り組まれてきたことが多いのではないでしょうか。 しかし売上を伸ばし事業開発をしていくうえで戦略的にD&Iを位置づけ多様性をイノベーション創出の源泉にしていく視点が重要ではないかと思います。
グローバル化や大きな社会変革が進む中で多様な視点を取り入れることで組織がより柔軟かつ創造的に変化し成長することが期待されています。しかしながら具体的にダイバーシティがどのようにビジネスに貢献しイノベーションを促進するのかについてはまだ多くの企業で理解が十分ではない部分もあります。
今回はダイバーシティの象徴でありベストセラー作家である乙武洋匡さんと中小企業を中心に3000社以上の経営支援を手掛け1000件を超える新商品・新規事業を生み出してきたオカビズの前センター長としてイノベーションに取り組んできた私・秋元祥治がダイバーシティの意義とそのビジネス的な価値について議論しました。
多様性が新たな事業開発につながった事例
地域の中小企業でも多様性が新たな事業開発につながった事例があります。岐阜県関市の金属加工業・早川工業では障がい者雇用から始まった取り組みにより従業員26名中4名が障がい者となりLGBTフレンドリー企業認定も受けています。「個の創造性」重視の方針により下請け100%から自社ブランド展開へ転換真鍮小物等新製品開発で収益向上しています。
BCG調査(2018年)によるとリーダー層多様性高い企業はイノベーション収益19%向上利益率9%改善とのデータもあります。「所属感」感じる従業員比率も85%(非多様性企業53%)と高く組織活力向上効果も確認できます。
なぜダイバーシティは創造力を生むのか?
経済学者シュンペーター提唱「新結合(ニューコンビネーション)」理論こそ鍵です。回転寿司(ベルトコンベア×寿司)アシックスシューズ(タコ吸盤発想)等既存要素異なる組み合わせこそ革新生みます。都市研究者リチャード・フロリダ指摘通り「寛容さ」ある環境異なる視点交わることで初めて実現します。
(岐阜県若年女性42%県外志向事例示す通り)保守的環境では革新人材流出します。「制度整備」「意思決定層登用」必須トップダウン改革必要です技術開発基礎研究同様戦略的投資位置付けるべきでしょう。
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